SEIKO(セイコー)ダイバーズ誕生55年の傑作モデル
1965年に誕生したSEIKO(セイコー)のダイバーズウオッチは、今年で55周年を迎える。初代モデルは当時の基準で150m防水を実現。現在も復刻されることで長く人気を獲得し続ける。さらに、その後も進化を止めないセイコーダイバーズは、冒険家たちを魅了し、光届かぬ海の底から地球の果てである両極や、世界一の標高を持つエベレストなど過酷な環境下で確かな時を刻み続けた。
【世界中で愛される歴代モデルをもっと見る】
その歩みは現在にまで受け継がれ、SEIKO(セイコー)独自の技術を生かしながら、次々とエポックメイキングなアイテムを発売。国産ダイバーズを牽引してきたのだ。
ではそもそもダイバーズウオッチとは何なのか、そしてプロフェッショナルに愛される理由とはーー。
それらを紐解いていくと、次第に人気モデルの存在も気になるはず。例えば現行のダイバーズがラインナップする「セイコープロスペックス」は、スポーツウオッチのヘリテージを受け継ぐブランドだ。国内外に多くのファンを持ち、中にはニックネームともいうべき“異名”で呼ばれるモデルも多数存在する。
【1965年】国産初の潜水用150m防水ダイバーズ
国産初の潜水用150m防水ダイバーズ
セイコーダイバーズの歴史はここから始まった。1966年から4回にわたり南極観測隊越冬隊員の装備品として寄贈され、あらゆる過酷な環境下のプロフェッショナルたちを支えてきた。
【1968年】ハイビート10振動300m防水ダイバーズ
当時、世界最高水準だった国産初のメカニカルハイビート(10振動)を搭載。日本山岳会の植村直己、植村輝夫の両氏がエベレスト登頂にこのモデルを使用したことも有名だ。
【1975年】チタン製ケース採用世界初飽和潜水仕様ダイバーズ
チタン製ケース採用世界初飽和潜水仕様ダイバーズ
世界最高峰の水密性、気密性、そして耐食性や耐擦傷性などの耐久性能が盛り込まれており、「外胴」といわれるプロテクターでケースを保護している600m防水を誇った画期的なモデルだ。
【1978年】世界初クオーツ式飽和潜水仕様600m防水ダイバーズ
駆動方式の新しさはもちろん、海洋科学技術センター(1983年当時)の潜水調査船「しんかい2000」で水深1062mまで潜航し無事生還。その驚異的な耐圧性能を証明した。
【2005年】スプリングドライブ搭載防水ダイバーズ
機械式とクオーツ式の特徴を併せ持つ、セイコー同時の技術「スプリングドライブ」を搭載。600m飽和潜水仕様で、こちらも独自開発のブライトチタンケースを採用している。
【2019年】セイコースポーツの最高峰LX Line
セイコースポーツの最高峰LX Line
ラテン語で「光」を意味する「ルクス(lux)」の名を冠するハイエンドモデル。 1968年のダイバーズとデザインをベースに、陸・海・空の頂点となるモデルを展開。
「ダイバーズウオッチ」の定義とは?
誰しも「ダイバーズウオッチ」という名前から想起されるのは高い防水性能だろう。しかし、セイコーウオッチの加藤氏いわく「ダイバーズとは、正確に言うと“いろいろな環境においてタフな機能を兼ね備えた時計 ”のことを指すんです」とのこと。防水性能以外にも「視認性・耐磁性能・耐衝撃性」といった項目でも厳格な試験をクリアしなければならない。そこで各性能を測る上でのポイントを聞いてみた。
【教えてくれた人】
セイコーウオッチ
マーケティング一部 加藤秀明氏
2007 年にセイコーウオッチ入社。営業部門を経て同社のプレス担当を長らく務め、2018年より現職。プロスペックスの商品企画・開発を担当し、時計修理技師の免許も持つ。
【防水性】
防水試験の一例を紹介しよう。「潜水時計を水中に完全に水没させ、1分以内に目標深度水圧の1.25倍まで加圧し数時間保持」「その後、段階的に減圧して、初期の加工なしの状態に戻す」「試験の後に結露試験を行い、ガラス内部の表面に結露がなければ合格」。これ以外にもまだまだ厳密な試験項目を通過する必要がある。
【耐磁性】
腕時計は磁気を帯びると動作不良の原因となる。そもそも船上で磁気を発する機器が多かったため、ダイバーズウオッチに耐磁性能が必要となった。現代ではスマートフォンなど電子機器が増え、こうした日常生活でも磁気帯びする可能性が高い。その点、高い耐磁性を持っているダイバーズなら安心というわけだ。
【耐衝撃性】
海だけでなく山やさまざまなフィールドでの装着を想定し、ダイバーズには高い耐衝撃性が求められる。縋衝撃試験(ヘッドのみ)や自由落下試験を行っているとのことで、まさに全天候型の耐久性を誇り、冒険家や探検家からも支持される理由はここにある。
【視認性】
光の届かない海底といった場所で時間を正確に「見える」こともダイバーズウオッチの条件。「500ルクスの照度で時刻の判別が可能、暗所では25cmの距離からの肉眼による目視でも時刻が読み取れる、回転ベゼルによって時刻の経過がわかるなどの条件がありますね。もちろん、これもすべての項目ではありません」(加藤氏)